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働き方

スキル市場が成長している ー 個人がITで稼ぐ時代の始まり

所有から共有へ。シエアリング・エコノミーの流れが進んでいますが、少し引いて眺めるとこの流れはもっと大きな奔流になっていきそうです。

www.nikkei.com

必要なときに必要なものを必要な分だけ調達する、自分でリソースを常時抱えずに済むので、コストは低減します。

社会に必要な財・サービスが、より低コストで生産・供給されるようになると、無駄の無い効率的な社会になります。

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必要な財・サービスの主な供給主体は企業ですが、従来企業は生産活動に必要なインプット(生産要素=材料、技術、人的資源など)を自社内で保有して、生産を行うのが普通でした。これは、生産に必要なものを調達するのにコストがかかるので自社の手元に抱えて置いた方が、経済的にみて合理的だったからです。

しかし、現在は通信・移動手段の発達で物理的な距離は昔ほど大きなものでなくなりました。国境を越えた企業間のネットワークが形成されるようになり、グローバルな分業体制で1つの製品が出来上がるようになりました。アップル社の製品は、アップル自体に製造の技術は無く、アップルが製品コンセプトを創り出して、部品の製造会社、組み立て会社をコーディネートして作られています。自社で技術をもたなくても、他社のリソースを利用して巨大企業に成長できる実例です。

ある商品やサービスを産み出そうというとき、必要なリソースはそれを持っている外部から調達すれば、成立するのです。その商品・サービスのコンセプトが消費者に支持されれば、そこに対して価値が実現します。

多種多様な製品・サービスを生産する企業群が存在している現在では、自社に必要なリソースをピンポイントに提供できる企業を見つけることが出来るということ、そうしたリソースを提供できる企業とのコミュニケーションがコスト面で非常に低く行えるまでにIT技術が進歩したことが、こうしたアップル社のような形態の企業を可能にしているのです。

実際、アップル社は世界に対し非常に有用な製品を供給すると同時に、非常に高いROE(資本利益率=純利益/株主資本)で知られています。直近2019/3末の四半期で51.29%。高効率の経営を誇っています。日本企業の平均ROEは上昇してきたとはいえ10%程度です。

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必要なものは自前で持たずに外部から調達し、それらを組み合わせて社会に需要されるものをアウトプットしていく。こうした形態は企業間だけでなく、このネットワークに個人の参入が進んでいるというのが上の日経新聞の記事です。

スキルを持った個人が企業と直接取引し、企業が求めるリソースをインプットする流れが拡大しているというのです。

これは非常に細かいレベルのスキルにおいて、自社で人材を保有せず、外部の個人から必要なだけスキルを取り込むことができるということ。必要なときだけ、そのスキルを持った個人と契約して利用できるため、企業はコストは下げられます。

この傾向はどういうことを意味するかというと、企業に雇用されなくともスキルを持っていればフリーランスで自分の持つスキルの価値を現金化できるということ。雇用されていないために、言わば活用されないまま眠っていた人的資源が生かされるため社会全体での生産効率が高まります。スキルを現金化できる個人にとっても好ましく、利用する企業にとってはより低コストで自社製品・サービスの提供につながるのでwin-winの関係です。

一方、私が強調したいのはもう1つの面で、企業は人的リソースを自社で保有しない傾向が強まる。つまり雇用を減らせるところは減らして行くということ。固定費となる人件費は極力削減したいのが企業の考えです。企業で雇用される従業員は、スキルを持った外部の個人が参入してくることで言わば競争にさらされることになります。こうした状況では、従業員の給与は抑制的にコントロールされることになるでしょう。

雇用されている先の会社の給与はなかなか上がらないので、副業解禁になると自らフリーランスとして自分のスキルを他の会社に提供して(もちろん利益相反の無い状態で)副収入を得るということが広まるでしょう。

総じて従業員の給与は抑えられると考えられますが、AI(人工知能)などIT関連の高いスキルを持った人材は、若手でも高い報酬を出して少ない人材を奪い合う競争になっています。

つまり、これからの時代は、自分の持っているスキルの高さに応じて得られる経済的報酬が決まってくるということです。実際に誰かの役に立てるスキルを持っていると経済的な豊かさが手に入る。そうでないとそれ相応ということです。

個人も企業も、他者に対し提供できる価値を持っているかどうかによって繁栄するかどうかが決まってくる。「与えるものが返ってくる」という社会です。公平で当たり前のことですが、当たり前が成立する社会になってくるのです。

個人のスキルの質の競争が始まっていると上記日経の記事にはあり、個人対企業の市場ができてくれば、そうした競争は必然だと思います。一方、個人対個人の取引も生まれており、特別なスキルでなくても平凡なものでも、誰かが望むものを提供できればそれで対価(お金)を得られる、それでやっていけるということです。求める人がいればお互いに必要なものを得て満たされる関係が生まれる。社会全体の厚生がミクロレベルで満たされ向上していくことになります。

いずれにせよ、何が自分に出来るのか、何が好きでどういうスキルを提供して社会と関わって生きていきたいのか。各自が自分に問うことを求められるようになります。

好きなことをして生きて行く社会の実現へ。いろんな流れがここに収斂している感じがします。

それでは、また。