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時事

金融審議会市場WG「高齢社会における資産形成・管理」

先週22日に金融庁の金融審議会『市場ワーキング・グループ』が取りまとめた「『高齢社会における資産形成・管理』報告書(案)」が話題になっています。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190522/01.pdf

注目を集めたわけは、この報告書の中で、公的年金だけでは家計は赤字になるため、「資産寿命」を延ばすための自助努力が必要とはっきり打ち出されていたからです。政府が公式に、公的年金の限界を認め、国民に自助による生活設計を訴えている、と受け取られています。

 内容を紹介すると、

P.8

公的年金の水準については、中長期的に実質的な低下が見込まれているとともに、税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後もこの傾向は一層強まることが見込まれる

P.21
重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。

P.24
公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないが、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。今後は、公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある。

さらに、具体的に、無職世帯夫婦(夫 65 歳以上、妻60 歳以上)では毎月約5万円赤字になり、20~30 年生きるとすれば単純計算で1,300 万円~2,000 万円が必要となり、長寿化を考えると更にその額は増えるとしています。

また、各家計で取り組むべき資産運用の方法については、生活資金を預貯金で確保しつつ、長期・分散・積み立て投資が必要として、「つみたてNISA」や、個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などをあげて、具体的に示しており、従来の政府の姿勢より大きく踏み込んでいます。

 「【付属文書1】高齢社会における資産の形成・管理での心構え」では、働き盛りの現役期、定年退職前後、高齢期の3つの時期ごとに、資産寿命の延ばし方の心構えが書かれています。

現役期 
→ 長寿化に対応し、長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期
早い時期からの資産形成の有効性を認識する
少額からであっても安定的に資産形成を行う
自らにふさわしいライフプラン・マネープランを検討する


リタイヤ期前後
→ リタイヤ期以降の人生も長期化していることに対応し、金融資産の目減りの防止や計画的な資産の取崩しに向けて行動する時期

高齢期
→ 資産の計画的な取崩しを実行するとともに、認知・判断能力の低下や喪失に備えて行動する時期

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これまで明言されてこなかったですが、周知の事実ではありました。内容は特に目新しいものではないものの、ここまではっきりと具体的に書かれている点に驚きがあります。

国民の面倒をみるのを放棄し、自己責任として切り捨てる方向に転じるのかと過剰な反応をする向きもあるようです。

でも、重要な話をいつまでもうやむやにしておくべきではありません。資産形成には時間がかかります。いたずらに時間が経過してから実情を白状するより、早目に開示し国民に備えるように呼びかけるのは適切な判断です。時間かせぎをしても年金だけで暮らせるように財政が回復する見込みは無いのですから。

計画的に資産形成をしていくとしても、運用にはリスクが当然伴います。資産運用を広く国民全般に求めるのは、難しい面があると思います。信頼できるアドバイザー等を見つけることや、長期的に取引できる金融サービス提供者を選ぶことなどが示されていますが、運用だけに頼らず、安定して資産をふやす機会として、副業・兼業の解禁は必須です。企業も存続するためには終身雇用は困難と表明している状況です。

中高年の社員が会社からはじき出されることが、珍しく無くなってくるなら、尚更本業以外の収入源を確保できるよう、環境整備が急がれます。国も企業も厳しい状況で、個人の自助を求めるなら、政府も会社もそれを可能とする環境を積極的に創出すべきです。

金融庁のワーキング・グループなので、本報告書は金融面からの提案になっていますが、総合的な対策が望まれます。令和の時代、社会の仕組みは急速に変容していきます。これまでも変化が早く、早さに慣れている私たちだと思いますが、それでも早く感じると思います。

旧いものは手放していきましょう。そして望むことを行動に起こしていきましょう。

では、また明日。