徒然なるままに
My Natural Garden & Cafe
こころ

何もしないこと

昨日、好きなことをやっていこう、という趣旨の記事を書きました。今日は、これに関連して、違った視点から大事だと思っていることを書きます。それは、反対のことに聞こえるかも知れませんが、

『何もしないこと』。

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何か伝えようとすると、伝える相手のことを想って何か役立つことを盛り込もうと考えがちです。相手の状況が良くなってくれると嬉しい、人の役に立てると嬉しいという気持ちからです。

本屋に行くと、こうするとよいとか、こうしようとか、お役に立ちたい思いに満ちて読者に働きかける内容の本が沢山あります。活字だけでなく日常の会話の中でもよくあります。親が子の将来を気にかけて、又は上司が部下の成長を願って、等々。

こういうことは、ありふれていて、言われた方は有り難いかもしれませんが、何か解決しようとして働きかける、でもままならないということは多いです。言われた通りに出来ない自分を不甲斐なく思ったり、そんなこと言っても無理と希望を失ったり。

絶えず何かしなければと思い過ぎて心の平静さを失くしている人もいるのではないでしょうか。

そばに居るだけで、そっとしておいてもらえた方が、その人はその人のタイミングでその人がなるべき姿に変化していく。「すべてのことには時がある。」という言葉があります。

『伝道の書』コヘレトの言葉3章1節

何事にも時があり、

天の下の出来事にはすべて定められた時がある。

 ……

希望を持って待つということ

河合隼雄,谷川浩司『「あるがまま」を受け入れる技術―何もしないことが、プラスの力を生む』PHP文庫(157-158,160-161,164-165頁)から長いですが引用。

これは何度も本に書いていることですが、私のカウンセリングの考え方の基本は「無為」ということです。「何もしない」ということですね。それも「何もしないことに全力を傾注する」。 

 クリシュナムルチの「ものごとは努力によって解決しない」という言葉が好きです。

 老子の言葉で、「無為をなせば、すなわち治まらざるはなし」というのがあります。これは政治の話でして、為政者が一部の人を優遇したりするから争い事が起きる、よけいな作為をしないでおけば治まらない国はない、ということを言ってるんですね。しかしこれは、心理療法でも同じことです。

 そうなるように僕が導くわけじゃないんです。もともとそういう可能性をその人が持っているんですね。その人がもともと持ってるものが自然に出てくるのを待つよりしようがない。だから、カンセリングというのは大変なんです。待ってるだけの商売ですよ(笑)。本当に気の遠くなるぐらい気の長い話ですね。

 大切なのは、ただ待ってるだけじゃないということですね。希望をちゃんと持っている。そこが違うんです。だから、長いこと待っていてもイライラしないんですね。下手な人は、待っているうちにイラつくんですよ。そうすると、相手もイラつくわけです。その点、僕なんかはもう堂々と待っていますから(笑)。

 「何もしないことに全力を傾注する」。それはものすごいエネルギーのいる仕事ですよ。よほどエネルギーがなかったらできないです。そのエネルギーをうまくコントロールできないから、爆発してイライラするんですね。

これはクライアントとカウンセラーというように、相手がいる場合に限らないと思います。自分独りの場合も同じです。待てずに痛い経験をしてきました。

何かすることで不安から逃れたい。現に起きていることを受け止められなくて、努力の中に逃げ込みたくなる。そういう場合は何をしてもうまく行かないことが多いです。何もしないで堪えて待つということ。何かしたくなってしまうのをグッと抑えて足下を見詰めること。そうしていることが力を蓄え、その力が自分を次の段階へ運んで行ってくれる、そういうことがあります。

行動すべき時と待つべき時

待つべき時に待てる力。人は待てなくて大切なものを損ねてしまうことがあります。焦りや早る心を抑えきれず台無しにしてしまう、何とかしたいという思いから余計なことをしてしまう。そいうことの無いように、自戒を込めて『何もしないこと』の重要さを思い出すようにしています。

では、また明日。