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働き方

東大AI人材の就職先の変化

東大の理系の大学院の就職先の変遷について昨日付けで記事がありました。

r.nikkei.com

特にAIやビッグデータを扱うITエンジニアを輩出する大学院情報理工学研究科の卒業生や修了生の就職先が、大手企業から徐々にスタートアップへ移ってきているという内容です。

 国内大手が上位を占めていたのが、2008年に3位にグーグルが登場(1、2位はソニー、日立製作所)。2018年になるとスタートアップ企業が出てきます。

AIの深層学習開発で圧倒的な存在になったスタートアップ企業のプリファードネットワークス(東大在学中の学生たちが設立)などの影響もあるでしょう。

就職先としてスタートアップ企業が選ばれる理由を見ると、これはAIエンジニアといった限られたエンジニアの世界だけの話でなく、今後こういう考えで仕事を選ぶのが広がっていくと思います。

 スタートアップを志望する理由として挙げられていたのが、

(1) 仕事内容が明確

(2)学びながら仕事ができる。仕事しながら学びを継続できる環境

です。いずれも、どういうキャリアを作っていくかを意識した選択です。

(1)について。高い専門性を磨いてきた人材ゆえに、専門性を生かすための仕事を志向する。どういう仕事をすることになるか、明確であることを求める。当然の気持ちですね。

これまで多数の大学生は大した専門性を身につけることもなく、安定した大手企業を就職先として志向し、入社したら会社に言われた仕事をこなして順応していく、という格好でした。(少なくとも私が大学生だった頃は、学生に専門性など要らない、元気がよくて白紙の状態で入社して会社の色に染まるのが良い学生と言われてました。)

しかし、終身雇用は無くなります。社会の変化が早いなかで企業自身が環境変化に合わせ絶えず変革を求めらるようになっています。会社に自分の生活のすべてを預けるような働き方は、もはや現実的でありません。社員も自らどういうキャリアを望むのか、意識せざるをえません。

また長寿化が進み100歳まで生きるとなると、1つの会社で過ごして人生を終えるという設計は無理です。65歳まで、或は70歳まで働いて健康を保ち経済的な報酬を得てやっていくのが標準になるなら、自分はどういう分野で生活を築いていきたいのか、他人まかせでなく、自ら考え選び取ろうとする人は急速に増えていくでしょう。

求職活動する大学生にとって、将来のキャリアを描きやすいという点は、大手企業の人事部も今以上に対応を求められることになるでしょう。一般的な労働力として採用され何の仕事をすることになるか分からない、それで良いという者ばかり入社してくるのでは、企業の存続は危ういです。

(2)について。大学院との二束のわらじを認め、経営が理解を持ち、勤務時間などを柔軟にする。記事にはエンジニアが働きやすい環境の整備として紹介されていますが、エンジニアが大学院での研究活動を並行することで、仕事での価値創造が期待できるからでもあるでしょう。

昨日UPの「“働く”と“学ぶ”を並行させる仕組み」で書いたように、働くことと学ぶことを分離させない ー 働きながら学んで専門性を高めていく、または新たな別のスキルを獲得する、ということが、会社にとっても、社員個人にとっても、成長し豊かさを実現していくために必要だという認識が浸透していくでしょう。

スタートアップ企業の給与が大手企業と差がないことで、現実(金銭)面も踏まえて、大手を選ばない優秀な学生が増えているため、一部の大手が初任給の引き上げで対抗しようとしていることに対し、記事は、給与だけでは優秀な人材はひきつけられない、キャリアパスや専門性を生かせる役割を提示するなど抜本的な見直しが急務、としています。  

これは、特異なエンジニア獲得に限った話ではなく、もっとすそ野の広い動きに連なっていくでしょう。

そのくらい変化は待ったなしで進んでいると感じています。

では、また明日。